宮脇俊三『終着駅』を読んだよ
鉄道紀行作家、宮脇俊三氏の短編随筆集。歯科業界紙への寄稿や文庫解説など、単行本未収録作品を集めたそうで、おそらくこれが最後の単行本でしょう。
既にない駅、路線、列車も数多く登場。あらためて、宮脇俊三存命時代と現在の鉄道事情の違いを感じるとともに、いまとなっては情報がふるいにもかかわらず、当時の情景や心情を描き出す巧みさに感服しました。
ただし、内容は他の作品と重複するものが多いです。だからこそ存命中は単行本にされなかったかもしれない。
本編よりも、高田文彦氏の解説に感動しました。東日本大震災ののち、三陸鉄道の車内で互いの無事を喜ぶ人たちの話。そこから、鉄道は福祉施設。乗客に利するだけではなく、地域の中心となって人々を支える役割がある。と言い切った。気持ちいい!共感しました。文庫解説に心を熱くさせられるなんて初めての経験でした。でもそれって解説じゃないじゃん、というツッコミを入れるのは野暮ってもんです。