日本にもホームスクール制度を
米国映画監督の巨匠スティーブン・スピルバーグさん(65)は、少年時代からデスレクシア(機能障害)という障害で、読み書きが困難で、他の生徒より2年遅れだったという。今でも脚本を読むのに、普通の倍近く掛かると最近告白している。彼自身がそれを知ったのは10年ほど前だったそうだ。彼自身も、そして子供時代の彼の周囲の人々もそれを知らなかった。だから、子供時代の彼は周囲の大人たちを困惑させ、クラスメイトからイジメられたりしたという。
しかし今のアメリカは、学校のカリキュラムについていけない子ども達を救う制度がある。ホームスクール(家庭学習制度)だ。現在、全米50州で100万人以上の子供がホームスクールで学んでいる。ホームスクールが始められてすでに40余年、卒業生の数は莫大で、社会に貢献している。現在、保護者や本人が望めば自由にホームスクールが認められる。ホームスクールは正式の授業であり、卒業資格は普通の公立学校と同じだ。
■ホームスクールの実例
私の孫の同級生は、高校2年生の頃から成績が次第に低下した。秋の練習参加とフツトボール試合は禁止。そこでカウンセラーと相談し、ホームスクールを始めたら効果は上々。成績もアップして、春からは練習も試合出場もOKとなった。現在も勉強は家で、練習のためのみ高校に通っている。
試合では俊足を生かしランニングバツクで活躍。ただし、昨年は160ポンドの体重が、今シーズンは210ポンドと大幅増になった。ホームスクールは良い方法だが、実施者の親や子供は、健康管理や保健について充分考慮する必要があると思う。
私の友人が経営するトレーニング場に通い、特殊訓練中のスキー選手がいる。彼は高校の全教科をホームスクール方式で学んだ。コンピュターのインターネットスクールを利用したという。彼は先月、カリフォルニアのスキー学校にリクルートされ入学した。我が家近郊の標高3700mの山のふもとで、仲間やコーチと共にスキーの合宿練習に参加し、休日や週末は仲間とジムで特殊な練習をトレーナーから受けていた。現在もカリフオルニアのスキー学校で修業中とのことだ。
私が以前住んでいたクラマスフォールズの友人は、家族は妻と息子が1人 娘が2人。その子ども達は、母親の強い希望で3人共、ホームスクールだった。息子は軍人になり、家庭を持ち、現在は家族と南米に駐留中だ。そして娘さんたちもすでに独立。1人はポートランドで勤めながら、他の資格取得にネっトスクールで学習中とのこと。みなそれぞれに成功しているようだ。ホームスクールに通わせた理由をずっと後から知った。「公立は悪ガキが居て娘が心配だ! という母親の希望だったそうだ。
最後にもう一つ、これも近所の知り合いの息子さんの話だ。この子は数年前までは、孫たちと私の家によく自転車で遊びにきていたから特に印象深い。聞くところによると、数年まえから登校拒否。家に引きこもることが多くなり、相談の結果、ホームスクールとなった。学習は上手く行っているようだ。しかし、友達とコミュニケーションがなく寂しそうにしているらしい。以前の笑顔がまた見たいと願っている。
聞くところによると、ホームスクールの大多数の親は、コミュ二ケーション作りのために週末などには、さまざまな集会や行事に子共と参加しているようだが、これは社会性を培う目的の一つとしても重要な事で、本人はもとより保護者の理解と努力が大切である。
■米国のホームスクール 家庭学習制度
米国でホームスクールが、政府の公認で本格的に始まったのは、1970年代といわれている。きっかけは、ある母親からの「公立校では安心できないので、自分の子共は自分で教えたい」と云う要望だった。その後の試行錯誤の結果、ホームスクールが制度化された。
前にイジメについて述べたが、イジメは登校拒否の現因の大きな一つにもなる。イジメを解決するには、お互いに向き合わないことだ。それには、自宅学習が最適で、これなら被害者も加害者も作らずに済む。日本の学校に、自宅学習制度があつたら、不登校やイジメ自殺問題も減るのではないかと思う。
人間の性格は十人十色、千差万別なのだから、クラスの授業についてゆけない、友達
関係のトラブル、学校に馴染めない、先生との不和、等々悩める子供や、不安と心配
に駆られる保護者にとつても、自宅学習は一つの良い制度であると思う。
(サイト管理人より 日本では学校教育法により義務教育を家庭で行うことを認めていません。ただし高校には在宅学習制度を持つ学校があります)