米国とは比較にならない学生スポーツの現状に改めてビックリ
山口県の高校のバスケットボール大会を見学した。
会場は下松スポーツ公園体育館という市立体育館で、建物だけは立派だった。2面のコートで10校が対戦していたが、場外にも館内にも看板などがなく、小生のように藪から棒に観戦したものには、ただのバスケットボールの練習試合としか思えなかった。大会名、対戦学校名、トーナメント表などどうして掲げないのだろうか。
さすがに電光掲示板だけは一流で、タイムと時間を告げるのだが、同行した太田先生の解説がなかったら、ほとんど状況が判らず、最後まで退屈しただろう。観衆を無視した関係者の試合のセッティングに呆れた。華がないし、がんばった者を大勢で称えるという空気もない。
米国では今がバスケットボールのシーズンで、小中校大学まで全米各地で盛んに開かれている。どの会場も多分盛況だろう。たとえば孫のケネディのバロウ高校あたりでも1,500人ぐらいの観衆がいる。観戦はもちろん有料で、一般は5ドル。シニア(老人)は3ドルである。リーグ選の上位ランキング校の中には、観客3,000人~5,000人。東部地方の名門校になると8,000人。大学になると15,000人の観客数も珍しくない。
これだけでもなかなかの規模だ。しかし、これでもフットボールの比ではない。フットボール上位50校になると、自前の競技場の座席は平均で35,000席、さらに上位校は50,000席になる。オレゴン大学は55,000席。私の長女夫妻が卒業したオレゴン州立大は40,000席。フロリダ大、オクラホマ大は85,000席。ノートルダム大、ペンステーツ大は100,000席、ミシガン大は108,000席。
先日、フットボールの全米決勝戦が開催された。東のアーバイン大と西のオレゴン大の対戦で、双方の公平を期すために、中間地であるアリゾナ州のフェニックス大学のドームで開催された。このドームは55,000人を収容する。普通席券600ドル。バイバック(買い戻し)価格が8,000ドル。これは決して珍しいことではなく、全てのスポーツは原則入場料でまかなう。これが米国式だ。
観客動員と収入と云う、学生スポーツに大切な資金源を考えない関係者は、「無努力」「無能力」「意気地なし」の三拍子である。彼等は何のために海外研修に行くのだろうか。今回見たところ、日本のスポーツ界は資金調達のための観客動員施策について、まったく成長していない。そもそも、学生の大会が平日学業のある時間帯に開催されるとはどういうことか。米国では特に限られた全米最終決勝戦など以外には、休校して試合に行くなど考えられない。そもそもどの学校もそんなことは許可しないのだ。
日本の学生スポーツの現状にはなんと申し上げたらいいか。最近ではスポーツアナリストとか云う商売人が米国体験をネタに能書きを云うようで、ときどきTVで拝見すると滑稽である。米国のことを語るなら、30~40年、いやせめて20年は住んで体験を積んでからにしろと云いたい。