俺言魂(おれごんだましい):平田孝 スポーツ教育者

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米国武者修業(5) UCLAへ、食事と体重管理

囚人島で交流試合を無事終えた次の日、サンフランシスコ・オークランド・ベイブリッジを渡った。合衆国最長の吊り橋。当時は世界最長の吊り橋だった。ちなみに現在の最長は瀬戸大橋である。
Chesapeake Bay Bridge
Chesapeake Bay Bridge / Craig Stanfill


それはともかく、長い吊り橋を割ってオークランドへ。西部選手権に参加した。日本勢は軽量3階級に勝利、中量級は善戦した。しかし重量級は体力が及ばず残念な結果だった。

サンフランシスコ近郊の試合を終え、グレーハウンドバスに乗った。いよいよ米国一周、12,000kmの武者修業の始まりである!

この武者修行、道中の心得として、

ひとつ、移動中は日の丸の制服(学生服)着用のこと。
ひとつ、旅券泌帯。
ひとつ、選手団は全員グレーハウンドバスの全米周遊券持参。
ひとつ、就寝は夜行バス。
ひとつ、食費は試合の入場料収入で賄う!
ひとつ、飲食物はストアーで買う!
ひとつ、体調、体重調整は、車中自己責任!

■食事について
貧乏修行旅行だからレストランなどに入るなど贅沢だ。グロセリーストアーが街中にあるので、移動中に飲料水と野菜を買うつもりである。食費は試合の観戦料から、つまりファイトマネーで賄う。どれだけお客が入るかわからないから倹約する。

それでもみな日増しに体重が増えてきた。理由は肉料理の食べすぎと練習不足だ。ハワイ以来、朝食はハムエッグかソーセージエッグ、昼食は肉を挟んだサンドイッチ、夕食のメインも肉料理。当時の日本食は魚と野菜と米。それで満腹してきた。こちらでは日本食の分量と同じくらい肉を食べて満腹にする。それは肥る訳だ。

貧乏旅行だけど、肉など食べ物は手頃な価格だった。米本土に到着以来、UCLAのまでの短期間で、ちょっとは空腹感があった。しかし、私をはじめ誰もが太り始めた。

■体重について
公式試合は当日の計量が厳格で、1グラム超過でも失格だ。

普段練習時の私の体重は63kg。これを試合の時は57kgに落とす。公式戦は、52キロフライ級だ。出場試合を目標に練習を始め、最終的にはサウナで決める。予選会では出場希望階級の2キロオーバーだった。私の場合は54キロで、もしオーバなら上のクラスに変更するか、または計量失格!と云うことになる。

今回の転戦試合は2キロオーバーだった。常に体重調整が不可欠である。今夜は、UCLAで試合だ。朝から食事抜き。それでもまだ2キロオーバーだった。

ただし非公式の交流試合や親善試合は双方の監督の話し合いで決める。今回の遠征試合は自らの修業が目的だから、すべて現地のコーチの要望に従う。この時は特に体重について、日本チームは全選手オーバーウエイトが著しかった。


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早朝にサンフランシスコを出発、600kmの道のりでロサンゼルスのバスターミナルに着いた。UCLAレスリング部のハント監督の案内で宿舎に到着。ハント監督は元軍人レスラーというツワモノであった。

到着当日、夜7時。体育館で親善試合とあいなった。観衆5,000人。軽中量級は順調に勝ったが重量級が苦戦。団体では引き分けという好試合で、観衆も沸きに沸いた。

戦前カリフオルニアに移住した日本人は多い。日本米の開拓者コーダ米のコーダ農場などがその代表である。この時はまだ日本人の観客は目立たなかった。米国人と連れ立って訪れる人もいたように思う。そして、ハワイ日系会、オークランド日系会、UCLAでも日系会の方々の日の丸を振る姿が印象深かった。

このあと、我々日本選手がハワイ、サンフランシスコ、と好成績を残しながら転戦しているという新聞報道が広がり、行く先々で日系人の観衆がふえていった。特にロスでは日系社会も大きく、我々の活動が話題になっていた。

試合後日系老人夫妻が来て、私たちに「戦時中自分たち日系人は収容所に入り苦心したが、今日は堂々と日の丸が振れた。皆さんありがとう!」と激励してくれた。そして、一諸に来たらしい同年代の米国人夫妻と、楽しそうに笑談しながら去って行った様子が印象的だった。

あのとき、日の丸を手に応援してくれた日系人の皆さんの思いが魂に響いた!

ちなみに、今もポートランドのわが家の米はコーダ米である。
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