米国武者修業(3) -囚人と親善試合-
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体育館に大勢の観衆が集まり、親善試合が始まった。
対戦相手はみな、そうそうたる、一流の(?) 犯罪者ばかり。試合を見守る"大勢の"観衆も囚人たちである。暴動でも起きたら……と、一寸不安になる。
アルカトラズ島、Alcatraz Island / densetsunopanda
米国のレスリングには、"カレッジスタイルレスリング"と"オリンピックスタイルレスリング"がある。オリンピツクを目指す選手以外の米国人はオリンピックルールを知らない。
我々は、修行のためならどちらでも良い。しかし、囚人選手が素直に審判に従うか否か、そこが心配だった。だいいち、犯罪者が "フェアープレーの精神" を持っているだろうか?
そんななかで、最初の試合は私である。
相手は入れ墨だらけ、鋭い目つきの選手……囚人だ。見るからに不気味だった。
でも、これはギャングやヤクザの "抗争" ではない。スポーツだ。レフェリーがいる。やるしかない!
試合開始。度胸を決めてタックル一発! 短時間で終わった。
不思議なもので、マットに上がると不安が消えた。
相手は笑顔で私に握手を求め、私の肩をたたく。私もつられて肩たたいた。
なんだか、観衆の面前で相手囚人の面子をつぶしたようで気の毒だった。
負けてやってもよかったな、と思ったが……。
勝っても後味のよくない試合だった。
でも、相手がスポーツを理解してくれていたので安心した。
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COMMENTS
うっわー、平田さんさすが、生涯現役!迫る緊張感にどきどきして読ませて頂きました。すごいですね、一流の?現役囚人との対戦!!
数年前ですが、サンフランシスコ訪問時に、もの好きにもサウサリートに宿をとり、朝晩と一週間船で通いました。アルカトラズの脇が航路です。物々しくて怖かったけど「絶対に行くぞ」と思いながらもタイムオーバー。。。現在は入れないのですね。平田さんのポッケに入って(笑)、行ってみたかったです。