ローカル線ガールズ
えちぜん鉄道で働く添乗員さんの手記です。ずいぶん前に話題になった本。さりとて積極的に読む気にはなりませんでした。話題になれば断片的に内容は聞こえてくるし、当時の「女の子と鉄道のミックス」というネタ作りに辟易していたこともあります。そのうち古本屋か図書館で見つけたら読んでみよう程度に思っていました。
なぜ買ったかと言うと、えちぜん鉄道の勝山駅からバスに乗り換えようと言うとき、万札しかなかったから。勝山駅にはいろいろな鉄道グッズがあって、そこにこの本もあったと。玩具のコレクションなどは興味が無いので、帰りの寝台列車で退屈したら読もうかな、という気持ち。1000円なので、9000円のお釣り。1000札が4枚。ああ、バスに乗れる(笑)。
ところが、そんな気持ちで買ったことが申し訳ないくらい良い内容でした。噂どおりの「がんばるオトメ的」エピソード集だけかと思ったら、前半でネガティブ要素であるはずの京福電鉄時代の衝突事故に触れています。運行停止命令が出てからの地元の戸惑い。復活を望む気持ちが痛いほど伝わって、それだけに復活運行の場面では涙しそうになりました。
「持病のあるお年寄りが、家族に遠慮してクルマの送り迎えを頼めない。鉄道が無いと病院に通えない」こんなエピソードを読むと、ピリピリと危機感がつのります。
鉄道は誰のものか。地域にとってどれほどの財産であるか。著者は鉄道員、しかし現職に就くまでは地元の利用者の一人。その視点にリアリティがあります。
本書ではえちぜん鉄道の社長もときどき脇役のように現れて、さりげなく良い人柄を感じます。だから、えちぜん鉄道再生を社長が語るという切り口もできたでしょう。それをあえて、職員の視点で語るところが面白いし、親しみやすい。出版社のメディアファクトリーにはすごい編集者がいるんだなあと思います。
同社からは「新幹線ガール」という車内販売スタッフの著書もあります。こちらはベッキーさんが主演でドラマ化されました。私はドラマを見ました。本はまだ読んでいません。現場からのレポートと言う意味で興味深いので、こちらもいずれ読みたい。
それはともかく、調べてみたら仕事ガール系の本はずいぶんありますねぇ。
九州レール・レディ
ご指名!古都のバスガイド
トワイライトEXP.レディ
モノレールガールズ
百貨店ガール
フライトナース
スーパーCAの仕事術
クレーンガール
……柳の下にはドジョウの群れのようです。クレーンって……(笑)。私からは「山手線ガールズ」をリクエストさせてください(笑)
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