番長に噛みつき勝ち!

2017.05.12 Friday 23:48
ott_sugi


昭和19年 空襲を逃れ
伊豆の韮山村字多田に疎開した。

蒲田小、高津小に続く3度目の転校で、
韮山小学校では
「生意気な東京疎開チビ!」と噂された。

教育勅語以来イジメの連続で嫌な日が続いた。
2か月が過ぎてもいやがらせは続いていた。
あの日は学校帰りの田んぼ道で
隣村の集団生徒7?8人につかまり集団イジメをされた。

image[韮山|Nirayama]
韮山|Nirayama / izunavi

激しかった。なぐる。ける。つかむ。
ボコボコにやられた。

私は逃げながらも「挑むしかない」と判断した。
番長を攻撃だ!
番長に片足タックルで飛びつき、太ももに噛みついた!
ガツチリ噛みついたまま抑え込み!

数分が過ぎたろうか。

あたりは静かで誰もいない。
血だらけの番長を見て、皆、逃げたのだ。
あたり一面は血だらけ。私も血だらけ。
もちろん番長も血だらけでオイオイ泣いている。
番長が泣いた。子分は皆逃げた!
集団イジメとの血闘だ!

以来、チビの東京疎開は怖い! と
学校でも噂が広まり、逆に通学時の友人が増えた。
番長は隣村の上級生だった。
付き合うようになった。
弱いと平和は崩れる。強いと平和を維持できる。

私にも平和が来た。
昨日の敵は、今日の友。


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