米国武者修業(8) 全盲レスラーと試合---ニューメキシコ

2013.08.26 Monday 13:37
ott_sugi



場内アナウンスが有り急に会場が静かになる。マットに上がるまでのコーチ等のしぐさで、相手は盲人選手ではないかと感づいた。

何も深く考えることもないし、考えてもしょうがない、試合をするまでだと思った。
レフェリーが相手選手を導きながら中央に来た。レフぇリーは無言で、互いに握手。

試合開始の合図の笛! 同時に静寂となる。私は相手を見ながら構えようとしたが、相手は、両手の平でマットを撫でる様にして耳をそばだてている。瞬間、私は気付いた、相手は私の足の動きを悟るために音を聞いているのだ。そのためにアナウンサーは場内に静粛にしてくれるよう説明したのだ。

両手をマットに這わす。相手選手の形が蜘蛛か、今にも獲物に飛び掛る猛獣のようだ。
一瞬、目のやり場を失った。盲人選手だから目を見ても意味が無い。相手は私を攻撃できないので、マットから手に伝わる感覚で私の動きを察知しているようだ。

目が見えないから先攻できない。
だから、私の動きを探りながら攻撃のチャンスを掴もうとしている。

この間は数十秒だったと思う。

image[katamari wrestling!]
katamari wrestling! / emdot

私もなんだか不気味で、チャンスが掴めず躊躇しながら、立ち技時間は修了。
寝技は相手が専攻で、ノーポイント。後攻で私がトーホールドから相手を一回転させてポイントを獲得。

勝てた。しかし、私は精神力で完全に負けていた。

格闘競技に盲目選手が挑戦する精神。フロンティア精神に熱烈に感動した。

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