米国武者修業(3) -囚人と親善試合- 

2013.07.11 Thursday 09:06
ott_sugi



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体育館に大勢の観衆が集まり、親善試合が始まった。
対戦相手はみな、そうそうたる、一流の(?) 犯罪者ばかり。試合を見守る"大勢の"観衆も囚人たちである。暴動でも起きたら……と、一寸不安になる。

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アルカトラズ島、Alcatraz Island / densetsunopanda

米国のレスリングには、"カレッジスタイルレスリング"と"オリンピックスタイルレスリング"がある。オリンピツクを目指す選手以外の米国人はオリンピックルールを知らない。

我々は、修行のためならどちらでも良い。しかし、囚人選手が素直に審判に従うか否か、そこが心配だった。だいいち、犯罪者が "フェアープレーの精神" を持っているだろうか?

そんななかで、最初の試合は私である。
相手は入れ墨だらけ、鋭い目つきの選手……囚人だ。見るからに不気味だった。
でも、これはギャングやヤクザの "抗争" ではない。スポーツだ。レフェリーがいる。やるしかない!

試合開始。度胸を決めてタックル一発! 短時間で終わった。
不思議なもので、マットに上がると不安が消えた。
相手は笑顔で私に握手を求め、私の肩をたたく。私もつられて肩たたいた。 

なんだか、観衆の面前で相手囚人の面子をつぶしたようで気の毒だった。
負けてやってもよかったな、と思ったが……。

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