アメリカで米を作った日本人の真意

2011.11.17 Thursday 16:48
ott_sugi


以前、サクラメントで日経二世が経営していた幸田牧場を見学した。
日本の米を作っていた。大規模な農場だ。
耕作は大型農耕機、種まきや消毒は小型飛行機から行う。
見渡すかぎり、360度一面の水田だった。

こんなに収穫してどうするのですか?

幸田さんは笑いながら私に言った。

私たちは、日本との戦争中に敵国人種と云う理由で財産を没集された。
日系人は全員、強制収容キャンプで生活した苦しい経験がある。

それ故に、祖国日本で同胞が米不足に困るような事が起きたときには、
アメリカで作った米で祖国を助けたい。
その信念で、あのカリフォルニア砂漠を開拓し、水を引き、
一大穀倉地帯を築いてきたのだ。

それから数十年経ち、経営者は米国人になり、品種改良は年々進み、味は日本に殆んど劣らない米ができている。

TPP交渉で、世界経済の国境がとりはらわれるとなれば、幸田さんたちが作った米、母国日本を助けようとした『夢の米』が日本農家を脅かすことになってしまう。

まったく皮肉な話である。

私はアメリカに住んで長いし、遠征先各国で米を食べた。
改良改善、バイオのお陰で、今のカリフォル二ア米は旨い。
日本米の最高品種に決して引けを取らない。
特に錦米はじめ週十種の米は、二世の人びとにより改良に改良をかさねられ、今日まできた。
その努力は、祖国を飢えから救いたい。しかも旨い米で救いたいという気持ちからである。もちろん、虐げられた民族としての意地もあるだろう。

そうした努力の結果として、旨い米が、日本の2分の1から3分の1の値段になった。

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